
船舶免許を取得するためには、身体検査に合格しなければなりません。
身体検査は視力・聴力・疾病・身体機能が対象となり、いずれも設定されている基準をクリアする必要があります。この中でも視力検査は、引っかかりやすい項目の一つです。
なかには、「視力が悪いけど船舶免許は取得できるの?」「身体検査の内容はどうなっているの?」など疑問に感じる方もいるでしょう。
この記事では、船舶免許に必要な視力や注意点、免許取得の流れを解説します。
船舶免許に必要な視力

船舶免許に合格するためには、視力検査を受けて基準をクリアする必要があります。ここでは、船舶免許に必要な視力を紹介します。
両目ともに0.5以上(矯正可)
船舶免許に合格するためには、両目ともに0.5以上の視力が必要です。
メガネやコンタクトなどを使用して矯正した結果、視力が0.5以上であれば、裸眼でなくても問題ありません。
なお、視力0.5は読書やテレビの字幕が見えるくらいですが、学校の健康診断における基準だとC(視力0.3~0.6)となり、矯正が必要になる可能性があります。
船舶免許に視力検査が必要となるのは、船舶の航行では、周囲の安全確認、見張りが重要となるためです。船舶を安全に航行するために免許取得時には視力検査が必須です。
片目が0.5未満でも視野が150度あれば問題ない
船舶免許における身体検査では、片目が0.5未満でも、0.5以上のもう片方の目の視野が左右150度以上あれば問題ありません。
視野とは、片眼で1点を固視したときに物の見える範囲です。視野の角度は正常者であれば片目では耳側に100度、鼻側に60度あるとされていますので、150度は通常はクリアできるかと思います。
船舶免許では視力に問題がなければ検査対象にはならないものの、常に周囲の状況を判断し、他の船舶と衝突しないためにも視野の広さが重要となります。
色覚の検査も行われる
船舶免許の身体検査では、視力検査だけでなく色覚検査にも合格する必要があります。色覚検査は、夜間において船舶の灯火(ライト)の色を識別できることが条件です。
ただし、灯火の色が識別できない場合も、日中に航路標識の彩色を識別できれば航行する時間帯が限定される免許が取得できます。
航行する時間帯が限定された船舶免許を取得した場合は、航行できる時間が日出から日没に制限されます。
船舶免許の色覚検査の種類は、灯色識別検査もしくは塗色識別検査のいずれかです。
灯色識別検査は、検査員が灯色検査器で白.赤.緑のいずれかの光を順不同に各色2回ずつ計6回提示し、すべて識別できれば合格、1つでも誤りがあれば不合格となります。
塗色識別検査は、3色(赤、緑、黄)の配列が異なるカードを試験員が任意に3枚選び、受験者に1枚ずつ提示し、受験者はカードの3色を左側から識別していきます。こちらも、すべて正解すると合格で1つでも間違いがあると不合格です。
船舶免許の視力検査で抑えておきたいポイント

船舶免許の取得や更新には視力が重要となります。ここでは、船舶免許の視力検査で抑えておきたいポイントを紹介します。
視力検査に合格しなければ他の試験を受けられない
船舶免許は学科試験や実技試験がありますが、いずれも視力検査に合格しなければ試験を受けることはできません。
視力検査は船舶免許の身体検査の中でも引っかかりやすい部分であるため、十分に注意しなければなりません。
その理由は、視力は年齢によって変化しやすい部分であり、以前は視力に問題がなくても、加齢により視力低下が進んでいる場合があるためです。
視力検査は、矯正視力0.5以上で合格となりますので、メガネ、コンタクトの必要な方は最初から装着して視力検査を受けることになります。
視力検査に引っかかってしまうと、当初予定していた試験合格に向けたスケジュールに狂いが生じるため、不安に感じる場合は事前に視力を確認しておくと安心です。
更新時にも視力検査が必要となる
船舶免許は5年ごとに更新が必要ですが、その際も視力検査を受けて合格しなければなりません。
更新と船舶免許取得の視力検査の内容は同じですが、更新時に視力検査に落ちてしまうと、免許の更新ができないため注意が必要です。
船舶免許の更新では更新講習を受けますが、視力検査に落ちると、講習を受けることができなくなります。
視力検査に不合格となっても後日再検査を受けることはできますが、船舶の更新講習は毎日行われているわけではないため、日程の調整を行わなければなりません。
さらに、免許の有効期限ぎりぎりで視力検査に落ちてしまうと、船舶免許の期限が切れてしまい、失効再交付の手続きが必要となります。
視力に不安を感じる場合は、事前に視力検査を受け、必要に応じてメガネやコンタクトレンズを用意しておきましょう。
免許の種類による視力の基準に差はない
船舶免許の視力検査において、免許の種類による視力の基準に差はありません。
船舶免許には、一級小型船舶操縦士・二級小型船舶操縦士・二級小型船舶操縦士(湖川小出力限定)免許・特殊小型船舶操縦士免許の4種類があります。
いずれも視力が必要になる免許ですが、視力検査の基準は同じで検査の方法も変わりません。
車の運転免許の視力検査と基準が異なる
車の運転免許(普通車)の視力検査の基準は、両目で0.7以上、かつ片目でそれぞれ0.3以上であり、船舶免許の基準と異なる点に注意しなければなりません。
船舶免許は両目とも0.5以上と定められているため、車の運転免許の視力検査で合格しても、船舶免許では合格しない可能性があります。
例えば、両目の視力が0.8でどちらかの片目が0.4だった場合、車の運転免許は問題ありませんが、船舶免許だと引っかかるため注意が必要です。
メガネやコンタクトレンズを着用しても免許証には載らない
船舶免許の視力検査では、メガネやコンタクトを着用して合格しても、その旨が免許証に記載されることはありません。
一方、車の運転免許の場合だと、メガネやコンタクトレンズを使用して視力検査に合格した場合、運転免許証に「メガネ等」と記載されます。
これは取り締まりなどで運転免許証をチェックした際に、メガネやコンタクトレンズを着用しているかを確認するためです。
証明写真はメガネなしでも問題ない
視力検査でメガネをつけていても、証明写真はメガネなしの写真で問題ありません。
なお、証明写真は車の運転免許だと免許センターで写真を撮ってもらうことができますが、船舶免許は自身で用意する必要があります。
メガネを着用したままの証明写真も可能ですが、レンズに反射光が入って顔の特徴がわかりにくいと写真が使えないため注意しましょう。
船舶免許の視力以外の身体検査

船舶免許の身体検査は視力検査だけではありません。ここでは、船舶免許における視力以外の身体検査を紹介します。
聴力
小型船舶の聴力については、船内の騒音を模した騒音下で、300mの距離にある汽笛(船の警報音)の音を弁別できることが条件となっています。
この条件をもとに身体検査では、身体検査実施中の会話の反応で聴力検査を行っています。具体的には、5メートル離れたところから発する話声語(話し声)が正しく聞き取れるかどうかです。
通常の会話が聞き取れる程度であれば問題なく、補聴器を使用しても構いません。
なお、補聴器を使用しても話声語の聞き取りが困難な場合は、小型船舶操縦士用聴力検査装置を使用し、汽笛の音が両耳で聞き取れるかどうかの検査が必要です。
この汽笛音による検査に合格すると、汽笛音検査結果合格記載の告知書が交付されます。
疾病
船舶免許の身体検査に合格するためには、以下の事項について、質問や観察により疾病がない、又は軽症でなければなりません。
- 視覚機能障害の有無
- 心肺機能の疾病の有無
- てんかん、精神機能の疾病、障害の有無
- その他、船舶操縦に支障がある疾病の有無
これらの疾患がある場合は専門医の診断書が必要となり、診断書の結果によって合否が決まるケースもあります。
身体機能
船舶免許の身体検査では、問診(質問による診断)や目視により身体機能の障害の有無を確認し、簡単な運動機能の検査が行われます。
身体検査中に目視で、歩行や着席の状態を確認されます。
必要に応じて下記のような簡単な運動機能の検査が行われることがあります。
- 手指を屈伸させる
- 手を前、上、横に屈伸させる
- 手を腰につけ、踵を上げて膝深屈伸する
これらの動作が行えていれば、通常は問題ありません。
なお、四肢に欠損、障害、義手、義足などの場合は、事前に日本海洋レジャー安全振興協会の身体適正相談コーナーへの問い合わせが必要となります。ここで身体機能の検査、確認が行われます。
船舶免許の試験内容と流れ

船舶免許の試験は、身体検査・学科試験・実技試験の3つで構成されています。ここでは、船舶免許の試験内容と流れを紹介します。
身体検査
船舶免許の身体検査は、試験会場で受けるか、国土交通省が定める身体検査項目を健診として受診するパターンがあります。
どちらになるかは、船舶免許の取り方によって変わります。
船舶免許の取り方は、学科・実技の国家試験を受けて合格する方法、もしくは登録小型船舶教習所に通って国家試験免除で合格を目指す方法です。
国家試験を受けて合格を目指す場合だと、学科の国家試験会場で学科試験に先だって身体検査が行われます。
一方、国家試験免除で合格を目指す場合は、事前に病院で身体検査を受け、医師に小型船舶操縦士身体検査証明書に必要事項を記載してもらいます。
学科試験
国家試験を受けて船舶免許の取得を目指す場合、試験会場で行われる身体検査に合格すると、そのままの流れで学科試験を受けます。
学科試験の内容や出題範囲は船舶免許の種類によって異なるものの、合格基準については「各科目50%以上でかつ総得点の65%以上で合格」という点は同じです。
学科試験はマークシート形式で行われ、記述式の問題はありません。
学科試験は過去問から多く出題されるため、しっかりと学習していれば独学で合格を目指すこともできます。
一方、登録小型船舶教習所に通って国家試験免除で免許取得を目指す場合は、国家試験の代わりに修了試験に合格しなければなりません。
修了試験も国家試験と同じ内容ですが、教習所内で行われるため、落ちたとしても次の試験のスケジュールが組みやすいメリットがあります。
実技試験
船舶免許の実技試験は実際にボートや水上バイクを使用し、ロープワークや操船技術、点検などの試験を行います。
学科試験は独学で合格を目指せるものの、実技試験は操船が必要となるため、事前に講習を受けてから試験を受けるのが一般的です。
登録小型船舶教習所の場合は、教習所で実技講習を受けたのち、そのまま修了試験を受けて合格を目指すこともできます。
実技試験は300点満点の減点方式で行われ、試験科目別の成績が配点の60%以上で、かつ成績の合計が配点合計の70%以上です。
実技試験も講習をしっかり受けていれば試験に合格できる確率は高いものの、実技試験に落ちてしまった場合は再試験が必要です。
なお、身体検査・学科試験・実技試験のすべてに合格すると操縦試験合格証明書が発行されます。
この合格証明書に申請書類を添付し、合格した日から1年以内に最寄りの運輸局に申請すると免許証が交付されます。
まとめ
この記事では、船舶免許に必要な視力や基準、注意点、免許取得の流れを解説しました。
船舶免許を取得するためには身体検査に合格する必要があり、その中に視力検査も含まれています。
視力検査においては、両目ともに0.5以上の視力が必要となりますが、メガネやコンタクトレンズを装着しても問題ありません。
また、片目の視力が0.5未満でも、もう片方の目の視力が0.5以上で水平視野が150度以上あれば合格となります。
実際にボートの操船が必要になったときに視力は重要となるため、船舶免許の取得を検討している場合は視力の基準も確認しておきましょう。
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