小型船舶の購入を検討する際、「どのような税金や維持費がかかるのか」「どのような節税対策が有効なのか」を気にされる方は多いのではないでしょうか。
個人で所有する場合も法人で所有する場合も、税金の仕組みや手続き、維持にかかる費用は大きく異なります。
この記事では、小型船舶にかかる税金や維持費の種類、計算方法、そして節税のポイントや手続きについて、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説します。
小型船舶に税金はかかる?
小型船舶の購入を検討する際、どのような税金がかかるのか気になる方は多いでしょう。ここでは、小型船舶にかかる税金の種類や、どのような場合に課税対象となるのかを具体的に解説します。
購入時に消費税が発生
小型船舶を購入する際、本体価格やオプション代、法定検査費用などにかかる税金のうち、主に必要となるのは消費税です。
個人がレジャーとして使用する小型船舶を購入する場合、自動車税のような毎年課税されるものはありませんが、購入時に消費税が課されます。
消費税は船体やエンジン、法定安全備品、検査登録費、オプション装備などすべての費用に適用され、購入金額の10%が加算されます。
固定資産税の課税対象には原則ならない
小型船舶(ボートやヨットなど)には、自動車と異なり、毎年課税される自動車税に相当するような税金が設けられていません。
また、事業用資産など税法上、経費として償却するものでなければ、固定資産税の課税対象にもなりません。
ですから、個人のレジャー用であれば、税金については購入時の消費税のみで、毎年かかるような税金は原則としてありません。
ただし、船の保管場所として利用するマリーナには年間保管料が発生したり、船を購入するとランニングコストがかかります。
事業用・法人所有は固定資産税の課税対象になる場合がある
個人のレジャー利用ではなく、事業用や法人所有の小型船舶は、固定資産税の課税対象となる場合があります。
これは、減価償却資産として事業の用に供している場合、その減価償却額または減価償却費が法人税法または所得税法の規定による所得の計算上、損金または必要経費に算入される資産については、土地や家屋以外でも固定資産税が課されるためです。
具体的には、漁船や遊漁船、旅客船または福利厚生用の船舶などが該当し、毎年1月1日時点で所有している場合、市町村への申告が必要です。
ただし、他に所有する償却資産も含めた課税標準額の合計が150万円未満の場合、課税されないケースもあります。
法人が所有する場合は、減価償却やリース利用による節税効果も検討できるため、経理処理や申告手続きを正しく行いましょう。
小型船舶にかかる燃料税・固定資産税の計算方法
小型船舶を所有・運用する際、燃料代は大きな費用となります。
そこで燃料にかかる燃料税や固定資産税など、さまざまな税金について把握しておくことは、維持コスト管理や節税の観点から非常に重要です。
ここでは、小型船舶にかかる燃料税(軽油引取税・ガソリン税)と固定資産税の具体的な計算方法について解説します。
燃料税(軽油引取税・ガソリン税)
燃料代に含まれる燃料税は、軽油またはガソリンの購入価格に含まれています。どちらの場合も「石油石炭税2.04円+温暖化対策税0.76円」の合計2.8円が石油税として課税されています。
軽油を使用する場合の燃料税は以下の通りです。
- 軽油引取税:1リットルあたり32.1円(地方税)
- 石油税:1リットルあたり2.8円(国税)
- 消費税:(軽油本体価格+石油税)×10%
※軽油引取税に対しては消費税はかかりません。
ガソリンを使用する場合の燃料税は以下の通りです。
- ガソリン税:1リットルあたり53.8円(国税)
- 石油税:1リットルあたり2.8円(国税)
- 消費税:(ガソリン本体価格+ガソリン税+石油税)×10%
ガソリンや軽油を購入した時点で、これらの税金はすでに購入価格に含まれています。自動車と同じように、小型船舶用に燃料を購入した場合も税金の納付手続きを個別に行う必要はありません。
なお、船舶の燃料として軽油を使用する場合、一定の手続きを経て「免税軽油」として軽油引取税が免除される場合もあります。この制度を活用すると燃料コストを抑えられます。
固定資産税
小型船舶が固定資産税の対象になるのは、原則として事業用や法人所有の場合です。償却資産として申告し、評価額を算出します。
新艇購入(耐用年数4年)の固定資産税の計算は以下の流れで行います。
- ①評価額の算出:購入した年は、取得価格×0.781
- ②翌年からの評価額:前年の評価額×0.562
- ③上記の評価額がその年の課税標準額となる
- ④固定資産税の計算:その年の課税標準額×1.4%
ただし、その他の償却資産と併せた課税標準額の合計が150万円未満の場合は原則として課税されません。
小型船舶の固定資産税は「取得価額→評価額→課税標準額→税額」の順で計算されるため、事業用や法人所有の場合はこの流れを押さえておくと安心です。
その他の維持費・税金以外の費用
小型船舶を所有し安全に運航するためには、登録や検査、保管、保険、定期検査など多岐にわたる手続きやサービスが必要です。
ここでは、小型船舶の維持にかかる主な費用の種類とその内容について、詳しく解説します。
登録・検査手数料
小型船舶を購入した場合、所有権を公証するための登録が必要となります。新艇を購入した場合は新規登録が必要で、中古艇を購入した場合は、名義変更のための移転登録が必要となります。
登録手数料は船のサイズや手続き内容によって異なりますが、税金とは別に必要となる法定費用の一つです。
なお、これらの登録手続きは、小型船舶を購入した船舶販売業者が通常は代行します。
この場合は登録手数料とあわせて代行手数料がかかります。個人間で売買した場合は、購入者が登録手続きをする必要があります。
この登録のための費用がかかるのは、小型船舶購入時のみです。但し、登録時の氏名または名称、住所等が変わった場合は変更登録をする必要があり、費用がかかります。
下表は新規登録の手数料です。代行手数料は含まれていません。
| 総トン数(または長さ) | 手数料(円) |
|---|---|
| 5トン未満かつ3m未満 | 4,900 |
| 5トン未満かつ3m以上5m未満 | 7,000 |
| 5トン未満かつ5m以上 | 8,900 |
| 5トン以上10トン未満 | 15,300 |
| 10トン以上15トン未満 | 18,300 |
| 15トン以上20トン未満 | 21,700 |
小型船舶を購入した場合、新艇の場合は、上述の登録とあわせて定期検査が必要となります。新艇の新規登録と初回定期検査は手続きが大変複雑なため、販売業者が代行することがほとんどです。
中古艇を購入の場合は、その船の検査有効期限に応じて定期検査または中間検査が必要となります。
この場合も船舶販売業者がほとんどの場合は代行しますが、新艇の初回定期検査ほど複雑ではありませんので、購入者自身でも手続きをすることは可能です。
検査のための費用は、定期検査が6年ごとにかかります。
また、定期検査から3年目には中間検査の費用がかかります。ですから3年ごとに定期または中間の検査費用がかかることになります。
下表は定期検査の手数料(旅客定員12人以下の場合)です。代行手数料は含まれていません。
| 船の長さ | 手数料(円) |
|---|---|
| 3m未満 | 11,600 |
| 3m以上5m未満 | 16,700 |
| 5m以上10m未満 | 24,300 |
| 10m以上20m未満 | 30,700 |
| 20m以上30m未満 | 43,400 |
旅客定員13人以上の場合は手数料が高くなります。
保管料・係留料
小型船舶の維持費で大きな割合を占めるのが、保管料・係留料です。マリーナや港で船を保管する場合、船のサイズや保管施設によって料金が大きく異なります。
マリーナで保管する場合は、一般的には船の長さによって料金が決められています。
保管料は、海上での係留保管をするのか、陸上保管なのかによっても料金が変わります。陸上保管の場合は、船を海へ上げ降ろしするための上下架料も別途必要になります。
船が大きいほど保管料は上がります。また海上保管は専用の桟橋(バース)を占用するため、陸上保管より料金が高くなります。
例えば、年間の保管料(陸上保管)が20フィート(約6m)の小型ボートで20万円前後、これの上下架料が1回5千円~1万円程度です。
保管料(陸上保管)は、船の長さ1フィートあたりで1万円~1万2千円前後の計算となります。これが海上保管となると専用バースとなるため年間50万円前後します。
35フィート(10m超)クラスの大型艇の専用バースになると100万円を超えるケースもあります。
水上バイクの場合は、陸上保管のみとなりますが、年間6~10万円前後で、上下架料(出艇料)が無料~5千円程度となります。
これらの年間保管料以外に、初年度のみ、年間保管料とほぼ同額の入会金、保証金が必要な場合もあります。
年間保管料、入会金、保証金はマリーナの所在する地域、施設の規模によっても大きく変わってくるため事前に確認が必要です。
保険料
小型船舶の保険には、対人、対物の賠償責任保険、船体保険、捜索救助費用保険、搭乗者傷害などの保険があります。自動車のような強制保険の制度はなく、すべて任意加入となります。海上での船舶事故は賠償費用が大きなものとなることが多いので、最低限、賠償責任保険には加入しておきましょう。
賠償責任保険の保険料は、ヨットの場合は船体の長さによって、ボートの場合はエンジンの馬力によって決められていることが多いです。保険金額1億円で、8~13mのヨットで13,000円前後、100馬力超のボートで25,000円前後くらいの年間保険料となります。
船体保険は、自動車の車両保険にあたるものですが、船舶の場合は自動車のように等級の制度がありませんので、やや高額になります。保険金額10万円あたり2,500円が目安で、保険金額300万円で年間保険料が75,000円前後となります。
保険料については、艇種、業務での使用、船体保険は船体以外の装備、機器等の補償範囲、免責金額などの加入条件によっても変動しますので、事前に十分確認しておきましょう。
自分の利用目的やリスクに応じて、適切な保険を選びましょう。
小型船舶購入で税金を節約する方法
小型船舶を購入する際、上手に節税対策を取り入れると、維持費やランニングコストを抑えられます。ここでは、小型船舶購入時に実践できる主な節税方法とそのポイントについて、詳しく解説します。
法人名義で購入する
小型船舶を福利厚生用などの法人名義で購入すると、節税効果が期待できます。
具体的には、購入費用を「減価償却資産」として計上でき、新艇の小型船舶(20トン未満)の耐用年数は4年と短く、中古艇はさらに短くなるため、購入費用を短期間で経費として処理できます。
また、維持管理費用や燃料代、保険料なども福利厚生費や経費として計上可能です。
小型船舶の実際の耐用年数は長く、償却終了後でも、その商品価値は十分残っているため、業績の厳しい時には売却すれば利益を得られる可能性もあります。
ただし、福利厚生用として購入する場合、従業員全員に平等な利用機会を設ける、利用記録を残すなど、一定の運用ルールを守る必要があるため、税理士や労務管理担当者と事前に相談すると良いでしょう。
リースを活用する
小型船舶の法人リース活用は、経費の削減効果があります。
リース契約ですと、購入に際しての初期費用がおさえられます。リース料の全額または大部分を経費として計上でき、毎月定額支払いのため、費用の平準化ができます。
リース契約であれば、資産として計上する必要がないため、固定資産税や減価償却の煩雑な手続きも不要です。
また、リース期間終了後は、残価での再リースや買取ができる場合もあり、資産形成の計画もしやすくなります。
ただし、リース契約は中途解約が原則できない、契約中の所有権はあくまでリース会社であることなど、十分注意の上、リース契約内容を確認しておきましょう。
免税軽油制度を利用
船舶が軽油を燃料として使用する場合、免税軽油制度というものがあり、これは軽油引取税(1リットルあたり32.1円)が免除されるものです。
この制度を利用するには、まず管轄の都道府県税事務所に「免税軽油使用者証」の交付申請を行い、免税証の取得が必要です。取得後は、免税証を指定販売業者に提示して免税軽油を購入できます。
この制度について、令和7年4月以降、レクリェーションに使用する自家用プレジャーボートについては免税対象から除外されました。
ただし、遊漁船や遊覧船、ダイビングなどの事業用に使用する船舶については、これ以降も免税軽油を使用できます。
事業用に免税軽油を使用する場合は事業性を証明する書類の提出が必要です。免税軽油を用途外で使用した場合は追徴課税されるため、正しい手続きと運用が求められます。
小型船舶の中古購入時の税金
小型船舶を中古で購入する際、税金や諸費用がどのように発生するのかは、コスト管理の観点から非常に重要です。
ここでは、中古小型船舶の購入時に発生する主な税金や手数料について、詳しく解説します。
中古艇でも消費税が課税される
小型船舶を中古で購入する場合も、新艇と同様に消費税が課税されます。これは、中古艇販売業者を通じて購入した場合、売買価格に対して消費税が適用されるためです。
個人間取引で、業者を介さず直接取引するケースは消費税がかからない場合もあります。
ただし、個人間売買の場合、売主が課税事業者の場合は消費税の課税対象となることがあります。
船の売買はアフターケアーの面からも、販売業者から購入するケースが多いため、ほとんどの場合で消費税負担が発生します。
登録変更や名義変更時に手数料が必要
小型船舶を中古で購入した場合、所有者が変わるため「移転登録」や「船舶検査証書の書換」の手続きが必要です。
移転登録手数料として2,950円がかかります(非課税)。業者に代行してもらう場合は別途代行料がかかります。また、船舶検査証書の書換は、4,350円の手数料がかかります。
手続きには、譲渡証明書や印鑑証明など必要な書類があります。この移転登録や船舶検査証書の書換のみならば必要書類の提出のみで済みますので、自分で申請することもできます。
購入した中古艇のエンジンや仕様を変更する場合は別途に検査が必要になり、手続きも複雑になるため、業者に依頼した方が良いでしょう。
中古艇購入時には、手数料や諸費用、業者に依頼する場合の代行料も含めてコストを見積もっておくと安心できます。
小型船舶の税金手続き
小型船舶を所有・運航する際、税金に関する手続きがどのように必要になるかは、所有形態や利用目的によって異なります。
ここでは、小型船舶の税金手続きについて、個人利用と事業利用それぞれのポイントを解説します。
特別な税金に関する手続きは基本的に不要
小型船舶を所有・運航する場合、特別な税金の手続きが必要になるケースはほとんどありません。
個人がレジャー目的で所有する場合、税金としては消費税が購入時に発生するほか、燃料購入時に燃料税が課されますが、いずれもガソリンスタンドや販売店で燃料代を支払うことで完了します。
固定資産税も、通常の個人所有の小型船舶には課税されません。そのため、自動車のように毎年納税通知が届いたり、自分で申告書を提出したりする必要はありません。
ただし、事業用や法人所有の場合は固定資産税の申告が必要となる場合があるため、所有形態や用途によっては注意が必要です。
まとめ
小型船舶の購入時には消費税が課され、燃料にも軽油引取税やガソリン税、石油税が含まれます。
個人所有なら固定資産税は原則不要ですが、事業用・法人所有は申告が必要となります。節税や経費削減には法人名義購入やリース活用、免税軽油制度利用が有効ですが正しい手続き、管理が必要です。
滋賀ボート免許センターでは、3万人以上の実績と高い合格率で小型船舶免許取得をサポートします。
小型船舶免許取得を目指すなら、滋賀ボート免許センターにご相談ください。
