船舶を操縦するためには船舶免許の取得が必要です。
船舶免許は国土交通大臣が発行する国家資格であり、免許を取得するためには国家試験に合格しなければなりません。
ただし、登録小型船舶教習所に通って船舶免許の取得を目指す場合であれば、国家試験免除で取得することもできます。中には、「なんで国家試験免除になるの?」「国家試験免除にはどんなメリットがあるの?」など疑問に感じる方もいるでしょう。
この記事では、船舶免許の国家試験免除の仕組みや受験する場合との違い、メリット、注意点を解説します。
船舶免許の国家試験免除とは
船舶免許は、登録小型船舶教習所に通うことで国家試験免除で取得を目指すことができます。
ここでは、船舶免許の国家試験免除の仕組みや方法、対象となる船舶免許の種類を紹介します。
船舶免許の国家試験について
エンジンつきのヨットやボート、水上オートバイを操縦するためには、船舶免許を取得しなければなりません。通常であれば、国家試験として日本海洋レジャー安全振興協会が実施する試験を受けて、すべての試験に合格すると免許証が発行される仕組みです。
船舶免許の国家試験には、身体検査・学科試験・実技試験の3つがあります。
このうち、登録小型船舶教習所に通って国家試験免除となるのは学科試験と実技試験です。国家試験免除で受ける場合、身体検査は事前に医者で受けなければなりません。国家試験免除と言っても教習所内で学科と実技の修了試験が行われます。
国家試験免除は登録小型船舶教習所のみ可
国家試験免除で船舶免許の取得が目指せるのは、海の自動車学校とも呼ばれる「登録小型船舶教習所」に通う場合のみです。それ以外の機関では、国家試験対策の講習を受けることができても、国家試験免除で船舶免許の取得はできません。
登録小型船舶教習所とは、基準を満たした教習用船舶や教室などの施設を備え、国土交通省から登録を受けて小型船舶免許の教習を行う公認の機関です。
このシステムでは、登録小型船舶教習所が定める規定のカリキュラムを修了し、修了審査に合格すると国家試験のうち学科試験と実技試験が免除になる仕組みです。
決められた試験日に試験場に行かなくても、教習所が行う修了審査に合格すれば、あとは免許証が届くのを待つだけとなります。なお、小型船舶免許は国土交通省から発行されます。
国家試験免除の対象となる船舶免許の種類
国家試験免除の対象となる船舶免許の種類は以下の4種類です。
- 一級小型船舶操縦士免許
- 二級小型船舶操縦士免許
- 二級小型船舶操縦士(湖川小出力限定)免許
- 特殊小型船舶操縦士免許
いずれも国家試験の身体検査・学科試験・実技試験に合格して発行される小型船舶免許証と同じもので違いはありません。
ただし、免許の種類ごとに試験内容は異なっており、国家試験免除で免許取得を目指す場合も、免許証に合わせたコースを選ばなければなりません。
なお、登録小型船舶教習所に通って国家試験免除で取得できる船舶免許は、小型船舶免許のみとなります。
大型船舶を操船できる海技免状は、一定期間の乗船履歴(乗船経験)を取得して海技士の国家試験に合格し、免許の区分に応じた講習を受けなければなりません。
船舶免許の国家試験免除と受験する場合の違い
船舶免許の国家試験免除と、国家試験を受験する場合にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、登録小型船舶教習所以外の船舶免許の取り方を紹介します。
国家試験免除にならないケース
船舶免許の取得を目指すにあたって、国家試験免除にならないケースは、登録小型船舶教習所以外の、いわゆるボートスクール等で取得する場合です。
国家試験免除で船舶免許の取得ができる機関は、登録小型船舶教習所のみと定められています。それ以外のスクールでは国家試験免除とならないため、国家試験免除で船舶免許取得を目指すなら、登録小型船舶教習所に通いましょう。
ただし、二級小型船舶操縦士免許を取得していれば、一級小型船舶操縦士免許の実技試験が免除になるように、他の船舶免許があれば一部の試験が免除になる場合もあります。
登録小型船舶教習所以外の船舶免許の取り方
登録小型船舶教習所以外の船舶免許の取り方として、ボートスクールに通ったり、独学で勉強して国家試験を受けたりする方法があります。
ボートスクールは国家試験の受験をサポートする無認可の免許教室であり、講習を受けることはできても、国家試験を受けて合格しなければなりません。
また、船舶免許は独学で取得を目指すこともできます。
この場合は自身で学科や実技の勉強をし、身体検査や学科、実技の国家試験に合格したら、自身で免許証の発行手続きも行います。
独学は費用を抑えられるメリットがありますが、実技試験に関しては船舶の操船が必要であるため、別で実技講習を受ける場合がほとんどです。
登録小型船舶教習所でも国家試験受験可のコースがある
登録小型船舶教習所でも、国家試験を受けて船舶免許の取得を目指すコースを用意しているところがあります。
このケースでは学科試験については独学合格を目指し、実技試験は国家試験免除で目指す場合がほとんどです。一般的には、学科・実技ともに国家試験免除のコースで目指すより、学科は独学で実技試験のみ国家試験免除で目指すコースの方が料金が安く設定されています。
そのため、船舶免許の取得にかかる費用を抑えたい場合は、学科のみ国家試験を受けて合格を目指すのも方法の一つです。実技に関しては船舶の操船が必要となるため、独学で合格を目指すことはほとんどありません。
国家試験免除で船舶免許を取得するメリット
国家試験免除で船舶免許を取得するメリットは、試験が免除になるだけではありません。
ここでは、国家試験免除で船舶免許を取得するメリットを紹介します。
授業を受けることで正しい知識が得られる
国家試験免除で船舶免許を取得するメリットは、国から承認をうけた教科書やカリキュラムで授業を受けることによって正しい船舶の知識を身につけられることです。
船舶免許は取得して終わりではなく、そのあとは自身の責任で船舶を操縦し、安全に航行しなければなりません。自然が相手の海上や湖上では、予期せぬトラブルがいつ発生するかわからず、その際には適切に対応する必要があります。
このようなトラブルに対応するためにも、船舶に関する正しい知識が必要です。国家試験免除で船舶免許の取得を目指す場合は、教習を受けることで正しい知識をしっかり身につけられます。
教員資格を有している講師に質問ができる
登録小型船舶教習所で教習を行っている講師は、小型船舶教員資格を有しているため、わからないことがあれば気軽に質問できるメリットもあります。
ボートスクールでも講師に質問することはできますが、講師の質はスクールによって差があります。その点、講師に教員資格が必須条件となっている登録小型船舶教習所であれば、講師の質に大きな違いはなく高い知識や技術を要しているため、安心して質問できます。
国家試験会場に行く手間がかからない
国家試験免除で船舶免許の取得を目指すメリットは、国家試験会場に行く手間がかからない点です。
国家試験を受けて船舶免許を取得する場合だと、あらかじめ定められている国家試験会場に出向く必要があります。すべての都道府県で国家試験を実施しているわけではないので国家試験会場に行くまでに時間がかかり、時間帯によっては調整が難しい場合もあるでしょう。
その点、登録小型船舶教習所は国家試験会場に出向く必要がなく、教習所内で行われる修了審査に合格すると免許証が取得できます。1つの場所ですべて完結できることは、メリットといえるでしょう。
修了審査が不合格でも再受験のスケジュールが組みやすい
登録小型船舶教習所において、国家試験免除で船舶免許を取得するメリットは、修了審査が不合格でも再受験のスケジュールが組みやすいことです。
小型船舶免許の国家試験も修了審査も合格基準が設けられており、基準に達さなければ不合格となって再試験が必要となります。その際、国家試験の場合だと改めて会場や時間を調整しなければなりません。
一方、国家試験免除の場合だと、再試験は登録小型船舶教習所のスケジュールに合わせるだけであり、面倒な手続きも必要ありません。
修了審査が不合格だった場合は無料で再受験できる
登録小型船舶教習所の修了審査に不合格だった場合、期間内であれば、何度でも追加料金なしで再審査を受けられるところもあります。
国家試験に不合格だった場合は再受験するごとに費用が発生するため、不合格に備えるのであれば、登録小型船舶教習所がおすすめです。また、修了審査に不合格だった場合は補習を受けられるため、再審査に備えることができます。
国家試験免除で船舶免許を取得する注意点
国家試験免除で船舶免許を取得するメリットはたくさんありますが、一方で注意点もいくつかあります。
ここでは、国家試験免除で船舶免許を取得する際の注意点を紹介します。
国家試験型に比べると費用が高め
国家試験免除で船舶取得を目指す場合、国家試験を受ける場合に比べ、一般的に費用が高くなる点に注意しましょう。
費用に差が生じるのは、国家試験免除の場合は規定のカリキュラムの教習を受講する必要があり、独学で目指す場合に比べて費用が多くかかるためです。ただし、国家試験型に比べて費用はかかるものの、それ以上に実用的な知識や実技をじっくり学べるメリットもあります。
また、学科は独学で国家試験を受験、実技は国家試験免除のコースであれば、費用を抑えることも可能です。登録小型船舶教習所のコースをチェックし、予算に合わせたコース選びを行うのもよいでしょう。
事前に身体検査が必要
国家試験免除で船舶免許の取得を目指す場合、事前にかかりつけの内科などで身体検査を受ける必要があります。身体検査にかかる費用は実費となり、病院によって異なるものの、3,000円〜5,000円が多いようです。
規定の小型船舶操縦士身体検査証明書をダウンロードし、医師に診断を受け必要事項を記入してもらう必要があります。
国家試験を受けて船舶免許の取得を目指す場合、学科試験の会場で学科試験とあわせて身体検査を受けられます。
国家試験を受講する場合の身体検査料は3,450円であり、病院に比べて安く受けられる場合も多いです。また、学科試験の会場でそのまま受けられるため、病院に行く手間がかからないメリットもあります。
病院に行かず身体検査を受けたいという場合は、学科試験のみ国家試験を受けるのも方法の一つです。
自分のペースで学習ができない
国家試験免除で船舶免許の取得を目指す場合、自分のペースで学習ができない点に注意しましょう。
国家試験免除のコースはカリキュラムに沿って講習を進め、最終的に知識や技術が身についているかどうかを確認するための修了審査を受けます。独学で船舶免許の取得を目指す場合と違い、決められた時間数のカリキュラムの受講が必要になる分、自分のペースで学習ができません。
時間的にカリキュラムの受講が難しい場合や、マイペースに勉強したい場合は、学科試験のみ独学で目指すのも方法の一つです。
まとめ
この記事では、船舶免許の国家試験免除の概要や、国家試験の場合との違い、メリット、注意点を解説しました。
船舶免許は登録小型船舶教習所に通い、学科試験・実技試験ともに国家試験免除で取得を目指すことも可能です。
この場合、カリキュラムの受講や修了審査に合格しなければなりませんが、教習所内ですべて完結できることや、修了審査に落ちても再受講しやすいメリットがあります。費用を少しでも抑えたい場合は、学科試験のみ独学で国家試験を受け、実技試験は国家試験免除で船舶免許の取得も目指せます。
国家試験免除で船舶免許の取得を目指すなら、滋賀ボート免許センターにお任せください。
登録小型船舶教習所の滋賀ボート免許センターでは、国家試験免除で船舶免許の取得ができます。万が一不合格のときでも、補修・再試験にかかる追加料金は一切不要です。
学科試験のみ独学で目指すコースも用意していますので、予算やスケジュールに合わせたコースをお選びいただけます。
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