船の免許を持っている方の中には、「免許の更新はどうやったらいい?」「更新期限が過ぎてしまった」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
船の免許は、自動車の運転免許と同じく更新が必要です。更新を忘れたまま船の操縦をすると無免許違反となり、罰則を受けるため注意しましょう。
また、免許の更新を忘れて期限が切れた場合は、失効再交付を行うことで免許の効力を復活させることが可能です。
この記事では、船の免許更新の方法や更新しなかった場合の対応、失効手続きの方法をわかりやすく紹介します。
船の免許は更新が必要
船の免許証は取得して終わりではなく、5年ごとに更新が必要です。ここでは、船の免許更新で知っておきたい基本事項を解説します。
船の免許更新とは
小型船舶免許を取得している場合、5年ごとに免許を更新しなければいけません。
期間内に船の免許更新を行わなかった場合は免許証が失効となるため、継続して船の操縦を行うためには更新が必要となります。
免許更新は、身体の適性や知識、技能の再確認を行うことにより、船舶の安全確保を行うための制度です。
船舶に関するルールは刻々と変わっており、安全に航行するためには船長が新しいルールや決まりを知っておく必要があります。
免許更新では更新講習を受けますが、その際には法律改正事項など最新のルールについても学びます。
船の免許更新時期を確認する方法
船の免許更新時期は、お手持ちの船舶免許証の左下に期限が記載されています。
例えば、有効期限が『令和7月12月1日まで有効』と記載されている場合は、令和7年12月1日までに免許更新を行う必要があります。
船の免許更新のタイミングは、運転免許のように誕生日ではなく、船の免許を取得した日がもとになっているため注意しましょう。
また、自動車の運転免許のように更新時期のお知らせが届かないため、自身で更新の管理を行わなければなりません。但し、免許を取得されたスクールや教習所が更新時期のお知らせをサービスで行っていることが多いです。
船の免許更新のタイミング
船の更新免許のタイミングは、有効期限日の1年前から有効期限日までの1年間で、その間に更新手続きをします。
早く更新したからといって次回の更新時期が早まるわけではないので、時間に余裕を持って更新するのがおすすめです。
例えば、船舶免許の有効期限が令和7月12月1日だったとします。この場合、免許の更新ができるのは、令和6年12月1日~令和7年12月1日の期間中です。
この期間中に免許更新を行った場合、どのタイミングであっても、もとの期限に5年が加算され、次回の有効期限は令和12年12月1日になります。
注意点としては、自動車の運転免許のように毎日更新に必要な更新講習が実施されているわけではなく、いつでも好きな日にちで更新できないことです。
更新に必要となる更新講習は事前に日程が決まっており、その時間と場所に合わせて更新手続きを行う必要があります。
他の船の免許を取得すると更新は不要になる
船の免許の有効期限内に他の船の免許を取得すると、免許証が更新されて更新期限が長くなります。
例えば、2級小型船舶免許を取得していて、船の更新時期が迫っているとします。このタイミングで特殊小型船舶免許を取得すると、新しい免許証が発行され、更新期限も新たに5年後となる仕組みです。
船の免許の更新期間が近づいていて他の免許取得を検討している場合は、更新前に免許を取得すると本来更新に必要となる費用が発生しません。
船の免許更新の要件
船の免許更新に必要なことは、身体検査の合格と更新講習を受講することです。
更新の大まかな流れは、更新講習当日受付をしたあとに、その場で身体検査が実施され、合格すると更新講習を受講して新しい免許の発行手続きとなります。
なお、以下の条件を満たしていると更新講習は免除することができます。
- ① 5年間で船長として1ヵ月以上の乗船履歴がある
- ② ①の乗船履歴がある者と同等以上の知識や経験があると地方運輸局が認める職務に一定期間従事していたこと
但し、これらの条件は証明が難しく手間もかかるため、ほとんどの方は更新講習を受講しています。
また、身体検査に合格しないと更新ができないため、前回の更新や免許取得時に比べて視力や聴力が低下したり、身体機能に問題が生じたりしている場合は要注意です。
身体検査に合格しなかった場合、原則的にその後の更新講習は受講できません。この場合は、近くの病院で医師による検査・診察を受けて診断書を取ってから再度受講となります。
なお、免許更新の講習受講後に試験はなく、講師による講義やビデオで遵守事項や法令の変更点、事故防止の説明などが行われます。
船の免許更新を行う方法
船の免許更新は自分で行う方法と、登録小型船舶教習所や海事代理士事務所に依頼する方法があります。ここでは、それぞれの免許更新の方法を解説します。
登録小型船舶教習所で更新する
船の免許更新は、登録小型船舶教習所で行うことが可能です。
登録小型船舶教習所とは、国土交通省の登録を受けて講習を受けることで、国家試験免除で船舶免許を取得できる教習所となります。
免許を取得するための機関である一方、更新講習実施機関として登録されているところがほとんどです。
更新講習機関として登録されている登録小型船舶教習所であれば、教習所が開催している更新講習を受講し、そのあとの免許更新の手続きを代行してもらうことが可能です。新免許発行までは約1週間ほどかかります。
なお、登録小型船舶教習所で更新をする場合、費用は8,500円から11,000円くらいかかります。
海事代理士事務所で更新する
船の免許更新は、海事代理士事務所に依頼して行うこともできます。
海事代理士事務所は、船舶登記や登録、検査申請、船員労務、海事に関する申請、届出など、海に関連する手続きを代行してもらえるところです。
海事代理士事務所に依頼する場合も、身体検査と更新講習を受けなければなりません。
更新講習は海事代理士事務所で行うことはできないため、更新講習機関による更新講習を海事代理士事務所で予約、申し込みを行います。
あとは、予約した更新講習機関による身体検査と更新講習を受け、残りの免許発行手続きは海事代理事務所が代行するのが一般的な流れです。新免許発行までは約1週間ほどかかります。
なお、海事代理士事務所で更新をする場合費用は、10,000円〜13,000円くらいかかります。
自分で更新する
船の免許更新は、自分で身体検査と更新講習を予約し、運輸局に行って自身で更新手続きを行うこともできます。
この方法は費用を安く抑えられるものの、船舶免許更新にかかわる書類の準備が必要となり、窓口に赴く手間や時間がかかります。
また、運輸局に足を運ぶとなると交通費が別途かかり、総費用が高くなる可能性もあります。
ちなみに自身で運輸局に足を運んで更新を行う場合は、免許を即日で発行してもらえる点が大きなメリットです。
すぐに船の操縦をしなければならないなど、免許を預けることが難しい場合は自分で更新するのもよいでしょう。
ただし、免許更新に関することをすべて自身で行うとなると、書類作成や移動に多くの手間や時間を費やすことになります。
書類に不備があって何度も運輸局に足を運ぶような場合もあるため、自分で行うよりも登録小型船舶教習所や海事代理事務所に依頼した方が無難です。
船の免許更新をしなかった場合
船の免許更新をしなかった場合は免許が失効となり、復活させるためには失効手続きが必要となります。
ここでは、船の免許更新をしなかった場合にどうなるかや、対処法を紹介します。
免許が失効する
船の免許更新をせずに免許期限が過ぎた場合は免許証が失効します。
免許証が失効したら、小型船舶の船長として乗船できません。免許が失効している状態で船舶の操縦を行った場合は無免許となり、罰則の対象となります。
免許の失効といっても、昭和49年の法改正後に取得した船舶免許であれば、資格の効力がなくなるわけではありません。
過去に船の免許を取得したことがあって失効している場合も、失効再交付手続きを行うと免許証は再発行され、新たに1から免許を取得する必要はありません。
免許を復活させたい場合は失効再交付手続きを行う
船の免許が失効している場合は、失効再交付手続きを行いましょう。
失効再交付手続きは、失効した船舶免許証の効力を復活して新たに有効な免許証を再交付するための手続きです。
船舶免許に関する情報は国土交通省のデータベースに登録されているため、船舶免許証を紛失していても問題ありません。
船の免許証の期限が1日でも過ぎてしまった場合は、免許の失効手続きを行うことなりますが、免許証期限が過ぎてからいつまでに失効手続きをしなければならないという期限はなく、仮に5年過ぎても10年過ぎても失効手続きができます。
このように船の免許はいつでも復活させることができるため、しばらく操縦しない場合は失効させておいても特に問題はありません。
しかし、船の免許更新に比べると失効手続きの方が費用は高く、時間も余分にかかるため、引き続き船の操縦を行うなら忘れないように更新した方がよいでしょう。
失効手続きの流れ
免許更新が間に合わなかった場合やすでに失効している場合は、失効再交付手続きを行いましょう。ここでは、船の免許の失効再交付手続きの流れを解説します。
失効再交付の条件
失効再交付を行うためには、免許更新の場合と同じく身体検査の合格と講習を受ける必要があります。
講習を受ける先は国土交通省に登録されている「失効再交付講習実施機関」で、基本的には更新講習機関と同じです。
失効再交付も、登録小型船舶教習所、海事代理事務所、自分で行う方法があります。
失効再交付講習実施機関の登録小型船舶教習所なら、教習所が開催している講習に参加して手続きの代行をしてもらえます。
海事代理事務所や自分で失効再交付を行う場合も、基本的な流れは更新手続きと同じです。
失効再交付講習の内容
失効再交付講習では、講師による講義やビデオを通して遵守事項や法令の変更、事故防止の説明などを受けます。
講習内容は当日配布される教本「海技と知識」に基づいて行われますが、更新講習と同様に学科試験や実技試験などはありません。
また、失効再交付講習の最後にはテスト形式の理解度チェックが行われますが、合格や不合格を定めるものではありません。
なお、更新の場合は講習時間が約60分であるのに対し、失効再交付講習は約140分です。
更新講習の方が時間も短くて済むため、船の操縦予定がある場合は、免許期限内に更新することをおすすめします。
失効再交付にかかる費用
登録小型船舶教習所や海事代理事務所に失効再交付を依頼する場合の費用は、15,000~21,000円ほどです。
料金に差があるのは、講習代や事務手数料が機関によって異なることが理由となります。
また、船の免許を紛失している場合や内容に変更がある場合は別途費用がかかるため、事前に確認しておきましょう。
失効再交付も更新と同じように自身で書類を作成し、最寄りの運輸局で免許の再交付を行うことができます。
失効再交付に必要な書類
船の免許の失効再交付を登録小型船舶教習所や海事代理事務所に依頼する場合は、以下の書類が必要です。
- 受講申込書
- 証明写真
- 委任状
- 小型船舶操縦者免許証
- 住民票(記載事項に変更がある場合)
自身で失効再交付を行う場合は、収入印紙や納付書が必要となります。
登録小型船舶教習所や海事代理事務所の場合は、事前に必要な書類を提示してくれるため、書類の不備で再交付が遅れる心配もありません。
まとめ
この記事では、船の免許更新の概要や更新方法、失効した場合の対応を解説しました。
船の免許更新は5年ごとに必要で、期限内に更新をしないと、免許証が失効して船の操縦ができなくなるため注意しましょう。
更新期限が切れたあとも失効再交付が可能ですが、更新に比べると費用が高く、講習時間も長くなります。
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滋賀ボート免許センターは国土交通省に登録されている登録小型船舶教習所で、更新講習実施機関・失効再交付講習実施機関にも登録されています。
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