1級船舶免許は船舶業の方をはじめ、航行の自由度が高く、乗れる船の多さから本格的にマリンレジャーを楽しみたい方にも人気があります。
中には「1級船舶免許でどんな船に乗れるの?」「どこまで行けるの?」など疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
1級船舶免許があれば広範囲な船舶操縦が可能で、世界中どこでも船で移動できるようになり、外洋でのマリンレジャーも楽しめます。
この記事では、1級船舶免許で乗れる船の種類や航行できる距離、免許を取得する流れを紹介します。
1級船舶免許で乗れる船
1級船舶免許で操縦できる船の大きさは、総トン数20トン未満と定められています。
ただし、総トン数20トン以上でも一人で操縦できる構造であり、用途がスポーツやレクリエーションであれば24m未満のプレジャーボートも操縦可能です。
1級も2級も操縦できる船の大きさは同じです。1級と2級の違いは海岸からどこまで遠くまで出られるかの距離の違いです。1級はその距離に原則的に制限がありません。ですから、1級でも2級でも操縦できる船の種類に違いはありません。
ここでは、1級船舶免許で遠く外洋まで航海できる船の種類や用途、特徴などを紹介します。
フィッシングボート
1級船舶免許で乗れる船として、フィッシングボートが挙げられます。
フィッシング目的で1級船舶免許を取得する方も多く、ボート釣りは自分の好きなときに好きなポイントでターゲットを自由に狙える点が魅力です。1級船舶免許なら海岸からの距離に制限なく航行できますので、2級船舶免許では行けないポイントまでも自由に移動でき、フィッシングボートでの海釣りには欠かせない免許と言えます。
フィッシングボートは釣りに特化したボートであり、走行性に優れ、止まって釣りをするときの静止安定性が高いという特徴があります。
フィッシングボートは小型のものでは、屋根の無いオープンタイプのもの、トイレや仮眠スペースがあるカディ(小船室)を設けたタイプなどがあり、大型のものでキャビン(船室)やトイレ、キッチンなどの居住設備を装備したクルーザータイプなど、種類はさまざまです。
また、小型のフィッシングボートは船外機が多いですが、大型になると船内外機や船内機が多くなります。1級船舶免許を取って遠く外洋まで出るなら船内機の方が波にも強く安定しています。
大きなフィッシングボートほど安定して外洋にも出やすくなりますが、小型ボートと比べ小回りが効きにくく係留にも熟練した技術が必要になります。
ヨット
1級船舶免許を持っている場合、エンジン付きのヨットに乗ることができます。
ヨットは、帆(セール)に風を受けることで推進力を得て航走し、セーリング中はエンジンを使用せずに風の力だけで進みます。
ヨットは、大きく分けるとエンジンが搭載されていない1~2人乗り用のセーリングディンギーと、船内に居住設備があるセーリングクルーザーの2種類あります。
セーリングクルーザーは、船底にキールと呼ばれるおおきな重りのようなものを備え、荒天や波などに対しての対候性が高く、小型であっても遠く離れた外洋までの航海にも耐えられます。セーリングクルーザーで世界周航をされている方も多くおられます。
1級船舶免許を取れば、セーリングクルーザーで世界一周も夢ではありません。
クルージングボート
1級船舶免許を持っている場合、クルージングボートに乗ることができます。
クルージングボートは、船内に居住空間や居住設備を備え、クルージングや船上パーティーなどが楽しめるクルーザーです。
日帰りでの航海が楽しめる小型のクルージングボートや、船内で宿泊しながら長距離の航海が楽しめる大型のクルージングボートなど種類は様々です。
大型のクルージングボートは、高速で航行でき、十分な居住機能を有しているため、1級船舶免許を取って数日かけての長距離のクルージングをしたい場合には最適です。
ただし、世界中を航海できるようなクルージングボートとなると、船の大きさも装備も相当に豪華なものとなってしまい、世界の富豪が乗るような船となります。
また、ヨット(帆船)とは違って、エンジンのみで航行するボート(動力船)の場合は、海岸から100海里を超える場合には6級海技士(機関)の免許をもった機関長を船長とは別に乗り組ませなければなりませんのでご注意下さい。
目的によっては特定操縦免許が必要になる
1級船舶免許があるとさまざまな船に乗ることができる一方で、目的によっては特定操縦免許が必要です。
特定操縦免許とは、旅客線や遊漁船などの小型船舶の船長になる際に必要な資格となります。
特定操縦免許を取得する際には7時間の旅客の救命に関する講義、4時間の出航判断能力や船舶の運航に関する講義、4時間の安全運航に必要な操船技術に関する実技の合計15時間の講習と、最後に学科と実技の修了試験を受けなければなりません。
ここでは、特定操縦免許が必要になる船を紹介します。
旅客船
1級もしくは2級船舶免許と特定操縦免許の両方が必要な船として、遊覧船やイルカウオッチングなどの観光船、花火クルーズ船などの人を運送する旅客船が挙げられます。
自動車の運転免許だと二種免許にあたるのが特定操縦免許であり、家族で花火大会を遊覧するなど自家用運航であれば資格は不要です。
遊漁船
遊漁船の船長になる場合も、1級もしくは2級船舶免許と特定操縦免許の両方が必要です。
遊漁船とは船で利用客を漁場に案内し、釣りなどの方法で利用客に水産動植物を採捕させる事業のことです。
具体例としては、釣船、磯渡し、いかだ渡し、観光定置網、フィッシングガイドなどがあります。
友達や家族と一緒に釣りを楽しむだけなら、特定操縦免許は不要です。
1級船舶免許で乗れない船
1級船舶免許で乗れない船は、総トン数20トンを超える大型船と水上バイクです。ここでは、それぞれ解説します。
総トン数20トンを超える大型船
総トン数20トンを超える大型船は1級船舶免許で操縦できないため、海技士という国家資格の取得が必要です。
海技士の資格を証明するものを海技免状といい、1級から6級(無線部は1級から3級)まであり、級によって運行できる船や職務が異なります。
海技士資格を取得するためには、一定の乗船経験を積み、海技士国家試験に合格し、海技免許の区分に応じた海技免許講習の過程を修了しなければなりません。
水上バイク
1級船舶免許を取得していても、ジェットスキーなどの水上バイクは操縦できないため、特殊小型船舶免許が必要です。
また、1級または2級船舶免許を取得していると学科の一部が免除となりますが、実技試験は免除になりません。
後から単体で特殊小型船舶免許を取得するより、1級船舶免許とセットで取得する方が安く済むため、船と水上バイクの両方に乗りたい場合は同時取得をおすすめします。
1級船舶免許で行ける範囲
1級船舶免許で航行できる範囲は、無制限であるため世界中どこでも航行可能で、外洋でのマリンレジャーも楽しめます。
ただし、海岸から100海里(約185.2km)を超える区域を航行する場合は、6級海技士(機関)以上の資格をもった機関士の乗船が必要です。
また、1級船舶免許と2級船舶免許の主な違いは航行範囲であり、2級船舶免許の場合だと航行範囲が海岸から5海里(約9.26km)以内に定められています。
乗れる船の大きさには違いはないため、近場でのレジャーが目的なら2級船舶免許、外洋に出てクルージングやトローリングを楽しむなら1級船舶免許がよいでしょう。
1級船舶免許を取得する流れ
1級船舶免許を取得するためには、学科試験・実技試験・身体検査に合格する必要があります。ここでは、1級船舶免許を取得する流れを紹介します。
免許の取得方法を決める
1級船舶免許を取得する方法には、主に以下の3つがあります。
- 登録小型船舶教習所で講習を受けて修了試験に合格する
- ボートスクールで講習を受けて国家試験に合格する
- 独学で勉強して国家試験に合格する
登録小型船舶教習所とは、国土交通省に登録された小型船舶教習所で、定められた時間の講習をうけ、修了試験に合格すると国家試験は免除されます。
この場合、身体検査は事前に病院で受け、小型船舶操縦士身体検査証明書に必要事項を医師に記入してもらう必要があります。
国家試験を受ける場合だと、試験当日に試験会場で身体検査を受けます。
ボートスクールは、学科や実技の講習を受けられるスクールのことで、講習で必要な知識や技術を学んだあとに国家試験を受けて合格を目指す方法です。
実技試験は実際に船の操縦が必要になるため、学科は独学で勉強し、実技は事前にスクールで講習を受けるパターンも多くあります。
しっかり知識や技術を習得したい方や、試験に落ちた後もサポートを受けたい方は登録小型船舶教習所がおすすめです。
また、登録小型船舶教習所もボートスクールと同じように、講習を受けて国家試験に合格するプランを設けているところもあります。
スクールや教習所に問い合わせをする
免許の取得方法が決まったら、スクールや教習所に問い合わせをしましょう。
国家試験免除で免許取得を目指す場合も、講習を受けて国家試験を受ける場合も、国土交通省登録小型船舶教習所がおすすめです。
国土交通省の登録を受けているため、安心して講習を受けられ、実用的な知識や技術を身につけることができます。
また、国家試験を受けて合格を目指す場合は試験日程や時間が事前に決まっていますが、国家試験免除の場合だと、修了試験の日程は登録小型船舶教習所ごとに異なります。
講習日程が豊富にある登録小型船舶教習所なら、仕事が忙しい方でも試験を受けやすくおすすめです。
試験を受けて合格する
国家試験や修了試験に合格したあとは、免許申請を行い免許証発行の手続きを行います。
自身で試験を受けた場合は、試験機関から発行される合格証明書と書類を用意し、合格した日から1年以内に最寄りの運輸局で手続きが必要です。
登録小型船舶教習所やボートスクールで講習を受けた場合は、登録小型船舶教習所やボートスクールが合格後の手続きを代行します。
また、船舶免許は5年に1回の更新が必要となり、更新日の1年前から更新することが可能です。
更新を忘れて免許期限が過ぎても失効再交付できますが、更新に比べると講習時間が長くなり、費用も高くなるため注意しましょう。
まとめ
この記事では、1級船舶免許で乗れる船や航行できる距離を紹介しました。
1級船舶免許では、フィッシングボートやヨット、クルージングボートなど、さまざまな船に乗ることができます。
また、航行できる距離に制限がないため、外洋でのクルージングやトローリングなどのマリンレジャーも楽しめます。
一方で、旅客船や遊漁船の船長となる場合には特定操縦免許、水上バイクやジェットスキーの操縦には特殊小型船舶免許が必要です。
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