近年、プレジャーボートでのクルージングや釣りなどのレジャー、水上バイクの操縦を目的に、小型船舶免許を新たに取得する人が増えています。
しかし、小型船舶免許にはいくつかの種類があるため、免許取得に興味はありつつも「どの免許を取得したらいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
小型船舶に関する免許は4種類あり、免許ごとに取得条件や講習内容、費用、期間などが異なります。この記事では、小型船舶免許の種類と取得条件、講習内容を紹介します。
船舶免許の種類と取得条件・講習内容
船舶免許は1級小型船舶免許、2級小型船舶免許、湖川小出力限定免許、特殊小型船舶免許の4種類です。
いずれも学科試験、実技試験、身体検査に合格すると免許を取得できます。
このうち、身体検査に関しては船舶免許の種類に限らず、以下の条件をクリアすると合格となります。
視力 |
・左右ともに0.5以上。 ・一眼が0.5の場合は他眼の視力が0.5以上で視野が150度以上 ※矯正可、メガネ可 |
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弁色力 |
夜間において船舶の灯火の色が識別できること |
聴力 |
5mの距離で話声語の弁別ができること(補聴器可) |
疾病および身体機能障害 |
軽症で小型船舶操縦士の業務に支障がないこと |
ここでは、船舶免許の種類と取得条件、講習内容を紹介します。
1級小型船舶免許
1級小型船舶免許は1級ボート免許とも呼ばれ、正式名称は1級小型船舶操縦士免許です。
1級小型船舶免許は航行区域に制限のない免許で、ヨット(帆船)での世界一周や外洋クルージングが楽しめます。
島へのクルージングやカジキを狙うトローリングなど、本格的な海洋レジャーに挑戦したい方におすすめです。
ただし、ヨット以外のエンジンのみで航行する動力船の場合は、海岸から100海里を超える区域の場合は6級海技士(機関)以上の資格をもった機関士の乗船が必要です。
操縦できる範囲 |
制限なし |
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操縦できる船舶の大きさ |
総トン数20トン未満のボート ※用途がスポーツやレクレーションに限定された長さ24m未満のボートも可 |
なお、総トン数とは、船の大きさを表す単位で、重さではなく、広さ(容積)を表しています。1トンは約7立方メートルです。
取得条件
1級小型船舶免許が取得可能になる年齢は18歳以上で取得できます。
2級小型船舶免許を取得してなくても、いきなり1級小型船舶免許を受講して免許を取得することが可能です。
また、2級小型船舶免許を取得している場合、1級小型船舶免許の実技試験は免除となり、学科試験の一部も免除となります。
試験・講習内容
1級小型船舶免許における学科の国家試験や講習は、以下の5科目から出題されます。
- 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
- 交通の方法
- 運航
- 上級運航Ⅰ
- 上級運航Ⅱ
国家試験の学科試験問題数は64問で、各科目ごとの点数が50%以上、なおかつ総合点が合計の65%以上で合格です。
実技試験や実技講習は以下の内容となります。
- 小型船舶の取扱い
- 基本操縦
- 応用操縦
- 安全確認
試験は減点方式で行われ、総合70%以上の得点で合格です。
2級小型船舶免許
2級小型船舶免許は2級ボート免許とも呼ばれ、正式名称は2級小型船舶操縦士免許です。
2級小型船舶免許は、ボート初心者にも最適な最もポピュラーな小型船舶免許であり、近場でのヨットやボートなどのマリンスポーツが楽しめます。
また、海を離れた湖や川であれば5海里の制限がなく、バスフィッシングやモーターを搭載したカヌーやカヤックも楽しめます。
1級小型船舶免許との違いは航行範囲のみで、操縦できる船舶の大きさに違いはありません。
操縦できる範囲 |
平水区域および海岸より5海里(約9km)以内 |
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操縦できる船舶の大きさ |
総トン数20トン未満のボート ※用途がスポーツやレクレーションに限定された長さ24m未満のボートも可 |
取得条件
2級小型船舶免許を取得できる年齢は16歳以上ですが、年齢が18歳未満の場合は操縦できるボートの大きさが5トン未満に限定されます。
18歳に達すると手続き不要で5トン未満の限定は解除され、次回の免許更新時に通常の2級小型船舶免許証が発行されます。
講習内容
2級小型船舶免許における学科の国家試験や講習は、以下の3科目から出題されます。
- 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
- 交通の方法
- 運航
国家試験の学科試験問題数は50問で、各科目ごとの点数が50%以上、なおかつ総合点が合計の65%以上で合格です。
実技試験や実技講習については、内容は1級小型船舶免許と同じです。
湖川小出力限定免許
湖川小出力限定免許は湖川免許と呼ばれることもあり、正式名称は2級小型船舶操縦士湖川小出力(第1号)限定免許です。
航行区域は湖や川のみで、海はごく1部の指定水域以外は航行できません。操縦できるボートの大きさは総トン数5トン未満で出力は15kw未満とされています。
1級小型船舶免許や2級小型船舶免許に進級するシステムはなく、特殊小型の学科免除もありません。
ダム湖で釣りをしたり、エンジン付きのヨットを湖で楽しんだりなど、場所や目的が限られるときにおすすめの小型船舶免許です。
操縦できる範囲 |
湖・川および指定区域 |
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操縦できる船舶の大きさ |
総トン数5トン未満 |
取得条件
湖川小出力限定免許が取得可能になる年齢は16歳以上です。
水上オートバイやジェットスキーなどの操縦はできないため、あわせて特殊小型船舶操縦士免許を取得する必要があります。
講習内容
湖川小出力限定免許における学科の国家試験や講習は、以下の3科目から出題されます。
- 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
- 交通の方法
- 運航
国家試験の学科試験問題数は30問で、各科目ごとの点数が50%以上、なおかつ総合点が合計の65%以上で合格です。
実技試験や講習は以下の内容となります。
- 小型船舶の取扱い
- 操縦
試験は減点方式で行われ、総合70%以上の得点で合格です。
特殊小型船舶免許
特殊小型船舶免許は水上バイク免許と呼ばれることもあり、正式名称は特殊小型船舶操縦士免許です。
航行区域は陸岸から2海里以内と定められており、ライディングやウェイクボードを楽しみたい方におすすめです。
1級小型船舶免許や2級小型船舶免許を取得していても水上バイクは操縦できないため、新たに免許を取得する必要があります。
なお、2003年の免許制度改正前に1級小型船舶免許〜5級小型船舶免許を取得していると、特殊小型船舶免許が付帯されています。
2003年より前に免許を取得し、更新を忘れていて水上バイクに乗りたくなった場合は失効再交付を行いましょう。
操縦できる範囲 |
陸岸より2海里(約3.7km)以内 |
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操縦できる船舶の大きさ |
水上バイク |
取得条件
特殊小型船舶免許が取得可能になる年齢は16歳以上です。
ボートと水上バイクの両方を操縦したい場合は、他の船舶免許と合わせて取得することをおすすめします。
講習内容
特殊小型船舶免許における学科の国家試験や講習は、以下の3科目から出題されます。
- 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
- 交通の方法
- 運航
国家試験の学科試験問題数は40問で、各科目別の点数が50%以上、なおかつ総合点が合計の65%以上で合格です。
1級小型船舶免許や2級小型船舶免許を取得している場合、一部の学科試験科目が免除されます。実技試験や講習は以下の内容となります。
- 小型船舶の取扱い
- 操縦
実技試験は減点方式で行われ、総合70%以上の得点で合格です。
船舶免許不要の船と注意点
エンジンがついているボートはすべて小型船舶免許が必要と思う方もいるかもしれませんが、中には免許不要で操縦できるものもあります。
免許を取得する手間がかからない一方で、専門知識や技術がない状態での航行にはさまざまなリスクを伴うため注意が必要です。
ここでは、小型船舶免許不要の船と注意点を紹介します。
船舶免許不要の船もある
エンジンがついているボートの場合でも、長さ3m未満かつ出力が1.5kW(約2馬力)未満であれば小型船舶免許は不要です。
ただし、推進機関が電動機であること、もしくは直ちに停止できる装置、巻き込み防護用のプロペラガードなどを備えておく必要があります。
なお、手漕ぎボートや小型のヨットなどエンジンがついていないものは船舶免許がなくても操縦可能です。
船舶免許不要の船にはリスクがある
小型船舶免許不要のミニボートが手軽に楽しめるボートとして普及している一方で、転覆や機関故障などのトラブルが急増しています。
小型船舶免許不要のボートでも、海や湖に出ると他の船舶と同じように海上や水上の交通ルールが適用されます。
交通ルールを無視して事故を起こした場合には、刑事処分に科せられることや、損害賠償で訴えられる可能性もある点に注意しましょう。
例えば、行会い船は互いに右に避けることや、横切り船は相手を右に見る側が避けるなどのルールも自分で調べておく必要があります。
また、小型船舶免許不要で乗れるボートはより小型であるため、少しでも風や波が出ると航行に影響が生じて転覆のリスクが高まります。
さらに、他船から見えにくく移動速度も遅いため旗を立てるなどの対策も必要です。
目的にあった船舶免許の取得がおすすめ
小型船舶免許不要のボートだと航行できる範囲に限界があり、乗れるボートの大きさにも制限があるため、目的にあった船舶免許の取得がおすすめです。
小型船舶免許を取得するためには試験に合格しなければなりませんが、その過程でボートを楽しむための知識や技術の習得ができます。
ボートを安全に安心して楽しむためにも、小型船舶免許の取得がおすすめです。
そのうえで沿岸を主体に釣りを楽しむなら『2級小型船舶免許』、夏場に水上バイクを楽しみたいなら『特殊小型船舶免許』のように目的にあった免許を取得しましょう。
船舶免許を取得する流れ
船舶免許を取得する方法として、国家試験免除で取得を目指すパターンと国家試験を受けて取得を目指すパターンがあります。ここでは、船舶免許を取得する流れを紹介します。
国家試験免除で船舶免許を取得する場合
国家試験免除で船舶免許を取得するパターンは、国土交通省登録の小型船舶教習所で講習を受けて修了試験に合格する方法です。
小型船舶教習所に入校し、一定期間講習を受講したあと、国家試験と同等の学科および実技修了試験を受験して合格すると免許が取得できます。
このパターンは、手厚いサポートが受けられるため実用的な知識や技術が身につくことや、追加料金が発生しにくいなどのメリットがあります。
なお、身体検査については受講の前に医師による検査を受け、その結果を所定の用紙に記入してもらう必要があります。
国家試験を受けて船舶免許を取得する場合
国家試験を受けて船舶免許を取得するパターンでは、ボートスクールや独学で知識や技術を習得して試験合格を目指します。
実技試験は実際にボートを操縦する必要があるため、学科は独学で勉強して、実技はボートスクールで講習を受けるケースが多いです。
料金を安く抑えられるメリットがある一方で、試験に落ちたときには追加料金が発生します。また、独学の場合だと間違った知識や技術が身についてしまう可能性もあります。
なお、身体検査については国家試験会場で学科試験と一緒に受けられるため、医院に行く必要はありません。
まとめ
この記事では、船舶免許の種類と取得条件、講習内容を紹介しました。
船舶免許は1級小型船舶免許、2級小型船舶免許、湖川小出力限定免許、特殊小型船舶免許の4種類があります。
船舶免許ごとに試験内容や取得条件、乗れるボートの大きさや航行距離に違いがあるため、目的に合った船舶免許を取得しましょう。
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